スマトラ沖津波復興支援活動

スマトラ・ホープの設立

スマトラ沖大震災の津波直後、インターバンドは、協力関係にあるANFRELと提携し、タスクフォースで「スマトラ・ホープ」を立ち上げました。スマトラホープは、被災直後のアチェ州にて現地の住民に対し、水・食料・衣料品等の生活必需品を届けました。また、児童の人身売買に関しても、現地の住民のヒアリングを行いながら、監視活動を行いました。当時の、被災状況とスマトラ・ホープの緊急支援活動をスマトラホープからのレポートを通してお伝えします。

 

スマトラ・ホープの活動

スマトラ半島の最北端・アチェ州では、長年の紛争により、今回の大災害において円滑な緊急体制がとりにくい状況にあります。

インドネシア政府は、各国政府からの支援、そして緊急支援を行う国際支援機関および国際 NGOを受け入れる体制を整えましたが、物資や生活必需品の配布は、滞っており、その理由として、道路や橋の破損によるものだと伝えられていますが、現状としては、長年の闘争により、意図的に支援がされていない地域がある、ということも聞かれています。今回の大災害により国内避難民は、40万人にも上るとされていますが、アチェにおいては、紛争によりもともと国内避難民が存在していた現状に加え、今後の国内避難民のさらなる増加が深刻です。

スマトラ・ホープは、アンフレルの別働隊(タスクフォース)として活動を行います。アチェ現地スタッフのネットワークを通じて、被害者や国内避難民に対し、物資の供給を行い、同時に、国軍からの脅し恐喝などが行われないよう監視し、現地アチェ人の人権擁護を行います。対象地域は、バンダアチェ、ロクスマウェです。

 
関連リンク  


被災直後の緊急支援活動

メダンからの第一次現地報告

2005年1月1日 

 
概略

 公的機関や政府機関、国際社会からたくさんの食料や医療物資が送られています。しかし、それらの多くは、空港で止められている状況です。すべての物資を配分できません。街は完全な壊滅的な状態で、インフラは津波によって破壊つくされているので存在しません。空港からは、あらゆる物資を輸送することが出来ない状況だ。物資を被災者に分配するのにトラックが必要だ。被災地の場所によっては、インフラが全く不足している組織もある。たとえば、メダンからトラックを借りる必要があったり、自分たちで燃料を運ぶ必要があったりというように。そこでは何も手に入らないのである。

ロクスマウェからバンダアチェにかけての海岸線沿いには、多くの一時的に建てられたシェルターや難民キャンプがある。バンダアチェの少なくとも50のキャンプには、今日まで外部からの支援は全く届いていない。各キャンプには約1500人が生活している。そのほとんどが子供である。

 

 

公衆衛生の状況

 日に日に状況は悪化している。清潔な水がないために、皮膚病がすでに発生している。多くの子供たちがひどいかゆみのある皮膚病に苦しんでいる。コレラも流行り始まっている。何とか機能している県で唯一の病院は、軍によって運営されている。その病院の名はケダム=ケサハタン・ダエラ・ミリター病院という。その県では中心的で唯一の病院であったザイナル・アビディン病院は、壊滅的な状態で、機能していない。国境なき医師団(MSF : Medecins Sans Frontieres)は医師と医療物資と共にすでに現地入りしている。

 

 

食糧

 被災者には、インスタント麺や乾燥食料しか届いていない。彼らは米や野菜、肉などといった他の食料を必要としている。それによって、すでに流行している、あるいはこれから流行すると予想される病気に対抗できる身体を作ることが出来るであろう。このような新鮮な食料を供給するために、私たちは、台所用品や調理用のガスやポット、フライパンやその他あらゆるものを提供する必要がある。  中でも主要な問題は、乳幼児や子供たちの食糧である。乳幼児のための粉ミルクは最も必要とされている。このことはまた、温かいお湯も提供する必要があるということを表している。

 

 

輸送

 いくつかの地域の道路はまだ機能している。メダンからは道路を通ってロクスマウェへ行くことが出来、所要時間は5時間である。ロクスマウェからバンダアチェへは6時間かかる。しかしバンダアチェから西海岸の地区ムラボーへの陸輸送は不可能である。ムラボーへアクセスするための唯一の方法は、ブランピディからの道路を通ることである。

 
計画

 現在スマトラ・ホープは、メダンにおいてアチェと北部スマトラの地震及び津波への人道援助について、食糧、インフラ、衛生の3つのテーマに焦点を当てた3ヶ月計画を立てている。

一月:最優先は食糧で、現地の人々に届くようにすること。

二月:最優先は依然食糧だが、特に清潔な水に焦点を当てたインフラ整備にも取り組んでいく。

三月:インフラが最優先。 健康状態については3ヶ月間では最優先とはしないが、それについても対処する予定である。問題なのは、どこで医師を確保できるかが全くわからないことである。医療物資だけでなく、医師や看護士やすべての医療装置が必要とされている。

 

 

緊急支援活動を開始してから2週間後

1月15日
アチェ州に救援スタッフが入ってから15日目になります。 現在、ロクスマウェで物資配給を行っています。 人々は、雨季のため、テントも水浸しになり、そのため衛生状態も悪く、困難な生活を強いられています。 子どもの中には、傷口がうんでしまい破傷風になり、場合によっては、 切断をするような状況にもなっています。 将来的には、義足の支援なども必要でしょう。アチェはもともと政府からの支援が不十分だったことにより、 津波の威力もさることながら、 建物そのものが壊れやすかったといえるでしょう。そのため、建物の下敷きになった人々の救援作業が難航しています。 現場は、異様な臭気に覆われている感じです。そのため、支援者の中にも具合を悪くする人がでてきており、 支援者のケアーも必要だといわれています。 SUMATRA HOPEの派遣スタッフの女性も あまりの惨状に体調を崩したので、 男性スタッフと交代することになりました。インターバンドのみなさんからの支援金は、 現地で医薬品や衣料品、食料の調達に役立たせていただきます。 本当にありがとうございます。

(SUMATRA HOPE事務局)」